久しぶりのヒット本に当たりました。
知的興奮状態。
『ウェブ進化論』(梅田望夫著)
※本書は「スパルタ読書塾」(→記事はこちらでご紹介しています)コミュニティでご紹介いただきました。ありがとうございました!「本当の大変化はこれから始まる」という副題にも垣間見られますが、
1)今後10年の潮流として「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」を挙げ、来るべきネット社会を中心に時流を的確に分析している
2)そんな社会でイキイキと生きていくため持つべきマインドセットについて示唆が満載
という
マクロ/ミクロ双方のアプローチが脳みそを気持ちよく興奮させてくれます。
全編を通じて印象に残るのは「ネット社会の到来だからといって、確かに一斉に全ての秩序が崩壊するわけではない。けれども、
この先ずっと言い訳を続けていくよりも、流れを素直に受け止めその波に乗っていくほうが明らかにみんなハッピーじゃないですか?」という筆者の姿勢。
う~ん、何だかこの力の抜けた感じが逆に痛快だと思いませんか。そうそう!と思わずうなずきたくなります。
例えばオープンソースについて、その本質を「何か素晴らしい知的資産の種がネット上に無償で公開されると、世界中の知的リソースがその種の周囲に自発的に結び付くことがある」ということと、
「モチベーションの高い優秀な才能が自発的に結びついた状態では、司令塔にあたる集権的リーダーシップが中央になくとも、解決すべき課題(たとえそれがどんな難題であれ)に関する情報が共有されるだけで、その課題が次々と解決されていくことがある」と筆者は説いています。
筆者の言葉を借りると
「あちら側」に情報発電所を置くことで、情報そのものに革命的変化が起こり、大きなパワーが生まれる。並行して
情報自身が淘汰を起こすという考え方が生まれてくる。
来るべき社会の足音に何だかどきどきしませんか?「情報の機密性が高いゆえ共有に際しては以下の問題点が・・・」なんて小難しい顔して想定問答を考え続けるよりも、きっと誰もがハッピーになり、また新たな価値が創造されるに違いありません。
もうひとつご紹介しておきたいのは、ブログに関するお話です。
これまでモノを書いて情報を発信してきた人たちが、いかに「ほんのわずか」であったか、そしてその「ほんのわずか」な存在とは、決して選ばれた「ほんのわずか」なのではなく、むしろ成り行きでそうなった「ほんのわずか」なのだ。・・・そんな認識が少しずつ広がりを見せているところが、ブログの本質を考える上で重要なポイントであると筆者は指摘します。
ニーズがあるのは(専門家そのもののスクリプトではなく)専門と一般を繋ぐブログであるという分析をふまえ、エントリーを読みながら「ふーん、そうだよねー」というふうに意識を再確認するというある種の社会合意形成の連帯をブログに見出すあたり、非常に鋭い分析と感心するとともに、とてつもない可能性を感じます。
また、ブログが個にとっての大いなる知的成長の場であるという指摘についても激しく共感しました。「
ブログを通じて自分が学習した最大のことは、『自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる』ということに尽きると思う」は全く同感です。
他にも、グーグルとヤフーの競争の背景に、サービスにおける「人間の介在」の意義を巡る発想の違いを指摘したり。最近よく耳にするようになったロングテール現象やWeb2.0についてもわかりやすく解説がなされており、こいつは間違いなく「買い」です。
『ウェブ進化論』(梅田望夫著)
この記事を書いている時点でアマゾンの書籍部門3位にランクインしていましたが、
来るべき社会の足音を素直に受け止めて、それにしっかり乗っていける人々が増えていくと、世の中がもっと生産的でハッピーになっていくのではないかと強く思いました。このブログを読んでくださるような方は、必ずやその波に乗ることを望んでいらっしゃるはず。
僕も基本的にベストセラーには飛びつかないタチなのですが、これは別格。とりあえず読んどきましょう。
【今日の学び】
・ネット社会の到来だからといって、確かに一斉に全ての秩序が崩壊するわけではない。けれども、この先ずっと言い訳を続けていくよりも、流れを素直に受け止めその波に乗っていくほうがきっとみんなハッピー。
・個にとっての大いなる知的成長の場(例えばブログ)を簡単に手に入れられるようになった。自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得ることができる。※人気ブログランキングです。少しでも学びがありましたら、ぜひココをクリックしてやっていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!最後に、筆者があとがきで記したコメントをご紹介。評論だけでなく自ら試行錯誤していこうとするマインドを持つことで、みんな幸せになりましょうよ。
これから日本は、大組織中心の高度成長型モデルではない新しい社会構造に変化していき、私たち一人一人は、過去とは全く違う「個と組織の関係」を模索しなければならない。
シリコンバレーにあって日本にないもの。それは、若い世代の創造性や果敢な行動を刺激する「オプティミズムに支えられたビジョン」である。・・・これから直面する難題を創造的に解決する力は、オプティミズムを前提とした試行錯誤以外からは生まれ得ないと信ずる『ウェブ進化論』(梅田望夫著)
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トラックバックありがとうございます。
こういう本が新書で発売されたということがなにより時代を感じさせます。
この本の影響もあってか最近web2.0という言葉がひとり歩きしてる感はありますが、情報社会は確実にあたらしい局面をむかえています。
警戒したり、したり顔で警鐘をならしたりするよりも、キチンと見極めることが大事なのでしょうね。