これまでも何回か書いたことがありますが、僕は大学4年間将棋部で活動していまして、今でも定期的に
全国職場対抗戦には出場しています。腕前は大したことありませんが、ひとりの将棋ファンとして最近ずっと注目していたイベントがありました。
瀬川晶司氏プロ編入試験対局将棋のプロになるためには、奨励会という育成機関でのリーグ戦に勝ち抜かねばならず、年間4名しかプロになれないという人数枠と26歳までに勝ち抜けられなければ退会という厳しい規定があります。
瀬川晶司氏はプロを目指し以前奨励会に在籍していましたが、年齢制限をクリアできず、結局棋士になる夢をあきらめてサラリーマンとして働いていらっしゃいました。その後、アマチュアとして各種将棋大会で活躍され、アマチュア代表として出場したプロのトーナメントでも互角以上の素晴らしい成績をあげていらっしゃいました。ケーブルテレビの棋戦ではA級棋士である久保八段に勝利したこともあるぐらいです。
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元プロの卵だったら当然でしょ、なんて思ってはいけません。最近はネット将棋の普及によるアマチュアの研究レベルの著しい向上、瀬川さんのような元奨励会の方の大量流入により、アマチュア将棋界で活躍するのは至難の業なのです)
そういった活躍をふまえ、一度はあきらめた将棋棋士としての道を切り開きたいという瀬川さんの嘆願書が日本将棋連盟で(大議論の末に)受け入れられ、
プロ代表との六番勝負で3勝すれば合格という入会試験が行われることになったのです。
六番勝負の実施要領はこちら詳しい経緯はここでは省きますが、大激闘を制して、3勝2敗で最終局を待たず見事プロ合格を決めたわけです。
プレスリリース今回試験の意義は、何より
将棋棋士がアマチュアひいてはファンのニーズを強く意識して判断し、行動したというところにあると思います。以前でしたらプロ編入なんて議論にすらならなかったでしょう(実際、今回の瀬川さん編入試験でも大議論になったそうです)。その意味で今回の将棋界の動きは僕は評価されて然るべきと思っています。
瀬川さんは、(もちろんご本人の弛まぬ努力の賜物であることは当然なのですが)
アマチュア・ファンの後押しがあってこそ、今回の快挙をなし得たということを常に頭に置いていってほしいと思います。
奇しくも、プロとして正式に認められた瀬川さんの最初のコメントは
「ファンの皆さんに夢を与えられるようなプロ棋士を目指したい」・・・大いに期待したいものです。
【今日の学び】
ファンあってこそのプロ。スポンサーはタニマチではなくお客様。※なお、今回の結果をふまえ、プロ編入制度について本格的な検討が開始され、来年春の棋士総会に諮られる見通しとのことです。これまで厳しい競争・年齢制限等により、棋士になる道は非常に狭く険しくかつ一本道しかない状況だったわけですが、今後は社会経験を積んだ後にプロを目指すような道も開けてくる可能性が広がるということだと思います。
新制度は今後の議論であり、現時点でその善悪については言及できるものではありませんが、
アマチュア(ファン)のことを第一に考えるきっかけとなれば、Win-Winの未来が待っているのではないでしょうか。
※おかしく愉快な時に切ない将棋界のことを面白く読ませる本をご紹介。
『まわり将棋は技術だ』
『将棋の子』
特に『将棋の子』は泣けます。
年齢制限最終回でぎりぎり合格を決めたプロの話は、人生の機微をしみじみ感じずにはいられません。文庫版で安く手に入りますし、ときどき読み返さずにいられない一冊として強くお勧めしたいと思います。
※人気ブログランキングです。少しでも学びがあればクリックいただけると、とても嬉しいです。よろしくお願いします!・・・さて、最後にひとつご紹介を。僕は決断に際しては、それなりにいろいろ情報を集めたりするようにしているのですが、今年は本だけでなく、メールマガジンに背中を押してもらうシーンが本当に多かったです。例えば「ブログで情報発信する」ことひとつをとっても、ITに決して強いとは言えない僕のなかでは抵抗感があったのですが、いざ始めてみると・・・そりゃしんどいこともありますが、楽しいことの方が百倍千倍多いのです!
そんな僕の背中を押してくれたメルマガ『エンジニアがビジネス書を斬る!』【通称:エンビジ】をご紹介したいと思います。その名の通り、エンジニアの“まるるちゃん”さんがビジネス書をネタに学びを語っているのですが、視点に付加価値がついているというか。誤解を恐れずに書くと「ロジカルに、さくっと、かつ前向きに」な感じ?
「うーん、そもそもこれの位置付けは●●だからして・・・」みたいな人が僕の身の回りには多いので、危うくそんな毒気にあてられかけていたのかもしれません。書評も味わえますし一挙両得、ということで学びを求めていらっしゃる方は登録されてみては?(もちろんメルマガなのでタダですよ;)
『エンジニアがビジネス書を斬る!』