会社が放り出したい人とは「欲のない人」・・・なんだかすごくわかる。
『会社が放り出したい人 1億積んでもほしい人』(堀紘一著)
新聞記者、BCG社長を経てベンチャー企業支援会社のドリーム・インキュベータを立ち上げた堀紘一さんによるリーダー論です。
堀さんは昔から著書がたくさんありますが、以前はいかにもコンサルな感じが鼻につきあまり好きではありませんでした。しかし、
実際に会社経営に携わるようになられたからでしょうか、本書は熱さとクールさがほどよく調和し、すっと身に沁み込んでくる一冊と思います。
過去の延長線上に未来を置くことはできませんが、
過去の検証から未来と自分を変えるファクターを見つけることができるという考えに基づき、戦後以降の日本社会検証に一章を割いているのも特徴的ですね。
例えば、部長になると社長の顔色ばかり見るヒラメとなり、役員になると何もしないサナギとなり、全てを取り仕切るのは課長補佐、という「課長補佐社会」のくだりは大企業だと現在でも思い当たる節がたくさんあります(汗)。
こういうと「昔の日本的経営の良さ」のような話を振りかざしてくるベテランもいらっしゃいますが、堀さんは日本流⇔米国流という二元論ではなく
、「実質」を問うべきだと主張します。
●いま、かつての日本的経営を懐かしんで、合理性一辺倒のアメリカ的経営に染まるのはけしからん、といっている人たちの主張はやはりおかしいと私は思う。これでは日本的経営の時代にあった人情みたいなものがなくなってしまう、というのにはもっと与することができない。
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実質の時代になったからこそ、ナアナアではない人間同士のほんとうの心の通い合いも生まれるのだ。傷の舐め合いのようなニセモノの人情などは、いくらあっても邪魔でしかない。・・・まさに同志と呼べるような真の仲間が、これからはより必要になってくる。
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真の仲間は、あなたの真剣度に応じて集まってくれる。・・・ビジネスでも何でも、
しょせん「自分のしたこと」しか返ってはこないものだし、同じく「自分のしていること」は必ずいつか自分に返ってきてしまうのである。
そういった現状を踏まえた、身につけるべきマインドやスキルについての示唆は大変得るものがありました。
●
ビジネスの基本は失敗にありと思った方がいい。過去にうまくいったことを続けていても、成功し続けることはできない。いつか必ず失敗する。
だからリーダーは、いずれ失敗するという前提に立って、次のやり方、新しいビジネスを準備しておく必要があるのだ。・・
・リーダーには、与えられた仕事をきちんとこなす能力よりも、未知の分野の仕事に挑戦し、それを軌道に乗せていく能力が求められる。●企画もアイデアも、第三者に伝わってはじめて意味がある。したがって、ビジネスパーソンは
何はともあれ、表現力を身につけることが大事である。
(←そのためには読書が最も有効だと。いま日本で多くの人が本を読んでいないのは、逆に考えるとチャンスだというのが堀説。)
●仕事とは関係がない時間をつくり、本を読んだり、映画を観たり、外国旅行をしたりして、見聞を広めていく。⇒創意工夫がひらめくときは、必ずといっていいほど、何らかの刺激を受けたときだ。=
それまでの蓄積が創意工夫のアイデアにつながる瞬間がある。リーダーとしての経験を積んでくる日々の中で悟り?を得たのでしょうか、堀さんはこんな学びを披露してくれています。(シーンを想像すると何だかちょっとおかしい♪)
●
部下というのは、基本的にリーダーのいうことをあまり聞いていない。その代わり、リーダーの行動は実によく見ている。
●
部下は何年使ってもわからない、と認識するのがリーダーシップの基本なのだ。だからこそ、
日ごろから部下の欲をよく研究して、あなたが示す夢と一致するようなシナリオをつむぎ出す訓練を怠らないことである。
タイトルはえげつないですが、未来のリーダーに勇気と希望を与えたいという堀さんのメッセージはストレートに伝わってくる内容ですよ。おすすめですね。
『会社が放り出したい人 1億積んでもほしい人』(堀紘一著)
※人気ブログランキングです。少しでも学びがありましたら、ぜひココをクリックしてやっていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!「たとえサラリーマンとして生きるにしても、自分の生殺与奪権を握っている上司に見放されたら終わりというのでは、あまりに情けない生き方だと思う」
同感です・・・
自分は何を実現したいのかをきちんと語れる人でありたいですね。
↓堀さんの最新刊は若者を叱咤激励しまくるお悩み相談(失礼)的な一冊です。「しっかりせい!」という堀さんの渇を読んで元気を出しましょう。最近始まったPHPビジネス新書のシリーズなので、お財布にも優しいですし。
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