ご存知、大前研一さんによる“
答えのない時代を生き抜くための知的パワーアップ法”を説いた一冊。
相変わらず(汗)、
大前さんの「オレ節」が全編にわたり炸裂しています。
大前さんの本は結構読んでいるのですが、「好きか?」と問われると、正直躊躇してしまいます。
誤解を恐れずにいえば「傲慢」臭がプンプンするのですね~。ご本人からすれば、自分の優れた部分や実績を率直に語っただけで他意はないのかもしれませんが。
しかしそれでも手にとってしまうのは、やはり知的刺激と学びがあるから!現代社会を「同じ状況に対して答えが複数あり、もしかしたら正解がないかもしれない」と位置づけ、
現代を生き抜くためには「考え続ける」しかないというメッセージは強烈です。
●日常のトレーニングで重要なのは、つねに知的好奇心を持つことである。・・・
「考える」ということは、自分に「知的備蓄」をつくるということにほかならないのである。
●
そもそも21世紀には専門家は存在しない。(!)
⇒これが大前さんの「プロフェッショナル論」につながっていくのです。
仮説&ゼロベース思考の重要性は言わずもがなですが、
現実にそれを実行するのは決してたやすくないというのが私の実感です。
(特に社内において・・・汗)
そんな日々を送る私たちに、チクリと刺激を与えてくれます。
●間違いとわかれば、すぐにオールクリアしてまたやり直せばいいのである。自分の立てた仮説が間違っていたら、新たな仮説を立ててスタートすればいい。
人生を悔やんでばかりいることは、間違った仮説に固執し続けているのと同じで、まったく無意味だと思う。
●たとえ
自分の感情がどうであれ、出てきた事実には謙虚になる。それが問題解決のための絶対の前提条件なのだ。
「考える『技術』」とうたいながらも基本的にはマインドセットを説いている一冊ですが、垣間見られるTips的な話がなかなか面白く感じられます。
●プレゼンテーションにおける
「提言」は一つでいい。・・・「社長、とにかくこの一つだけをやってください」と言われれば、気持ちが動きやすいからだ。
●プレゼンテーションでは全体の結論を先に言う方がよい。
私の場合、さらにその前提として必ず自分がやってきた作業(調査)を最初に言っておく。これを明示することで、会議出席者の中にある
「こいつら、本当にわかっているのか」という疑念が氷解するからだ。
↑いつもの自慢話ではなく、こういう「匠の技」みたいな話をまとめてくれたら魅力的な本になると思うんですけどね~、なんて。
混沌を生き抜くヒントとして、事例であげられている北欧の教育法の話も印象に残りました。
●(北欧では)英語も小学校からやるが、じつは
英語は教えない。「英語で」教えるのである。・・・一方、日本のように「英語を」教えると、テストが終わったらみんなその日に忘れてしまう。
●現代が複雑系の世界であることを教育の現場が理解し、その中で頭角を現すにはどうすればいいかをよく理解している。
答えがなくても自分なりの仮説を立てて、答えに至るまでやり続ける、どんな困難があっても、最後には絶対に答えに至るという、立ち向かっていく勇気を持たせることが教育の一番の基本になっている。まわりを見回すと、みんな「忙しい」と口を揃える今日この頃ですが、現代社会を生き抜くために持っておくべきマインドセットを改めて叩き込まれた気分ですね。
●(相手が社長でも主婦でも)
つねに緊張感を持って同じ態度で臨む姿勢がなければ問題解決の力は向上しないし、よい発想も浮かばない。もちろん相手によって話し方は変えるが、考え方の強度そのものは変えることはない。
●突破できる人間とできない人間の違いは、ようするに自分にはまだ経験がないというときに、そこを避けて通るか「とりあえず入ってみよう。何かあるかもしれない」と思うかの違いである。
大前さんの自慢話が出てきたら「ああ、この人は仕方ないね~」てな調子で、右から左へ受け流す広い心さえあれば、
学びが盛りだくさん+背筋がシャンと伸びるお勧めの一冊といえます。
刺激の欲しいあなたへ!ぜひぜひ。
※人気ブログランキングです。少しでも学びがありましたら、ぜひココをクリックしてやっていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!【編集後記】
日経の書評欄を読んでいて「ドストエフスキーがキテる」との記事を発見。
光文社の新訳版が売れてるみたいですね!
(現代の引きこもりとリンク云々という解説は???ですが;汗)
中学生のときに新潮文庫バージョンで『罪と罰』を読んで以来ですが、こういう世界名作モノが広く読まれると思うと、なんだか嬉しくなってしまいます。