進研ゼミ小論文編集長を経て、現在では「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載など、文章表現教育を中心に活動されている山田ズーニーさんによるコミュニケーション指南本です。
非常にコトの本質を捉えた一冊と思います!
コミュニケーションにおいて、言葉遣いや見た目はもちろん非常に重要です。
(⇒最近はその手の本が多いですよね)
が、本書は、
伝えることの喜びや必要性を整理したうえで、自らの「メディア力」を客観視してそれらを高めるための技術を伝えてくれます。
とにかく
「真っ向勝負」な本気度が伝わってきて、こちらも姿勢を正して読んでしまいました。
特に印象に残った話を2つ紹介してみたいと思います。
(1)論理力を高めるためには?山田さんは「
自分が話す意味、他の人が聞く意味がある話をするためには、自分なりの『決め』がいる」と指摘されています。
例えば、職場飲み会のような場なら、適当に「そうですよね」と当たり障りなく相槌を打っておけば、ほどほどに時間は流れます。
まあ、それはそれでたまには良いのですが、公私問わずキッチリと意見表明して議論すべき大切なシーンでは、
当たり障りないことをいくら言っても意味がない。自分なりに「決め」なければなりません。
そういう
「決め」を打ち出すと、意味を持つ可能性と反発が出てくる可能性の両方を秘めています。どうでもいい話には反対意見も出ませんから。
・・・そんなシーンを経験することで、初めて論理力はついてくる、と山田さんは看破します。
リスクを負って決めるからこそ、自分の判断が正しいか考え抜き、周到に根拠を用意し、他者を説得しようと努力するようになるのだ、と。
う~む、すげえ納得。
↓こういう本で思考の基礎を学んだ上で、真剣な議論シーンを経験するのがベストなんでしょうね!
↑以前読んで勉強したのですが、新版になって更に良くなってますね。
類書の中ではダントツお勧めです。
(2)人に信頼される条件
全編を貫くメッセージのひとつに「
人に信頼されなければ伝わるものも伝わらない」があります。
山田さんは会社を辞めて独立してから、しばらくは人に話を聞いてもらえない/信用されないと悩む時期が続きます。話の内容や自分の中身は何も変わっていないのに・・・。
悩んだ末に彼女が気づいたポイントは、「
人に信頼される条件は『つながり』『連続性』である」という点でした。
すなわち、過去から現在そして未来へと続く時間の中で、その人の連続性が感じられること、社会とのつながりが見えることで、初めてその人は信頼を得ていくのだと。
決して難しいことではないのですね。例えば、こんなこと。
・自分の仕事は、誰に、どのように役立っているのか?
・いま具体的に何をやっていて、それが3年後にどうつながるのか?こういったテーマをきちんと語れることは、おそろしく重要になってきていることを再認識しました。
個人的な話ですが、いませっせと準備しているエッセイ類もまさにこれなんですよね。頑張らねば~
繰り返しになりますが、
コミュニケーションについてとにかく正面から向かい合った一冊です。
山田さんご自身が苦労された実例もたくさん入っており、
この手のテーマが好きな私なんぞはちょっと感動でウルウルもの。
ワンコイン文庫で読んでしまっていいの?と申し訳なくなる力作です。
ぜひぜひ!
以下、そのほか印象に残った話を備忘がわりに記しておきます。
●何歳になっても、どんな強さを手にしても、人と通じ合えないとき新鮮な痛みを感じ続けられる人は、志が高い。
●わかってもらうために、自分はどんなことをしてきたか?自分は人のことをわかろうとしているのか?
●説得のシナリオ:
相手が知りたいことから伝え、結果として相手にどんないいことがあるかを述べる※提案者が力説しがちな「いかにこの提案が素晴らしいか」は相手の関心にない。
●情報に上がらないものはないに等しい、
表現されない自己は無に等しい⇒残酷だが、これが現実
●正論を拒むのは、人間の本能かもしれない・・・正論を言うとき、自分の目線は必ず相手より高くなっているから
●目線が肝心:
自分の身の丈を越えた物言いは、逆に、自分というメディアのサイズを小さく見せる。
※人気ブログランキングです。少しでも学びがありましたら、ぜひココをクリックしてやっていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!【編集後記】
英語勉強の一環で、最近おそるおそる(汗)洋書を読もうとしています。
初心者は、
細かいところは気にせず、とりあえず乱読せよという知人のアドバイスに従い、Penguin Readersの読みやすそうなのをチョイスしています。
先日届いた1冊目はコレなのですが、初めての洋書体験は何だか楽しく、ちょっとハマりそうです。
(電車で洋書をめくってるってなんかカッコイイ・・・←アホですな)
お勧めがあれば個人的にでも結構ですので教えてください~。