人生と経営の妙味、ここに極まれり。
『経営心得帖』(松下幸之助著)
いわずと知れた「経営の神様」松下幸之助さんが経営の心得を語った一冊です。
本書が初めて世に出されたのは、なんと昭和49年!(
僕の生まれた年です・・・)
30年以上前に書かれた本にもかかわらず、全く色褪せることがないのが二度驚きです。
前半が経営の心得、後半は人事の心得という構成です。
「企業は人なり」といわれるように、
会社の進むべき方向性と人とどう接するかという考え方は、まさに表裏一体であることを象徴的に示しているともいえます。
僕も社会人として会社の一員になって9年近くになります。僭越ながら、いかに組織を動かすかのコツや喜びを自分なりに少しずつ体得しているのではと思っているところです。
そんな僕ですが、本書を読むと
「そうだよな~」という気づきがタメ息とともにポロポロとこぼれてきました。当たり前なのですが、
経営は奥が深い。まだまだ学ぶべきことがたくさんあるなと気を引き締めさせられつつ、なんだか暖かい喜びに包んでくれる一冊です。
2001年に文庫版で発売され
税込みで500円なのですが、その価格からは信じられないぐらい、「
深く・濃く・暖かい」一冊です。経営者はもちろん、会社に勤めるビジネスパーソンには本当に読んでいただきたいですね!
あれこれ解説するより、珠玉のメッセージをいくつかお示しするのが本書の魅力を紹介するのにふさわしいでしょう。
●(商売は見方によってはきわめて容易であるとも考えられる。なぜなら、)
商売は社会に必要だから、いいかえれば世間の人々が求めておられるから、初めて成り立つわけです。ですから、
商売の基本は、そうした世間の声、人々の求めに素直にこたえ、誠心誠意努力していくことに尽きるといってもいいと思うのです。
●過去の信用、暖簾によって商売ができると考えてはいけません。常に、今お客様が何を求めておられるかを適切にキャッチして、刻々にそれにこたえていく、いわば
日々新しい信用を生み出していくことが大事だと思うのです。
●結局、サービスというものは、どんな商売にもつきものであり、したがっていかなる場合でも、
完全なサービスのできる範囲で商売をしていくことが大切だといえます。そういう経営の姿勢からこそ、堅実な姿における商売の発展がもたらされてくると思うのです。
●経営というものは、
どういう事態が起こってくるかをある程度予見して、それまでに必要な対策を立てて静かに時機を待つということでなくてはならないと思うのです。・・・(同じ条件下で)差が出てくるということは、感じていても実行力を欠くといいますか、いいかえれば感じ方にもうひとつ真剣さが足りないということではないでしょうか。
●
私には部下がみんな自分より偉く見えます。・・・(職責において)叱り飛ばしながらも、内心では“この人は自分より偉いな”と思っているわけです。そんな気持ちで人を使い部下に接してきたことが、多少とも商売に成功し、経営や人使いがうまいなどといわれるようになった原因ではないかと考えるわけです。
●(経営に)必要なのは、
謙虚な心持ちの上に生まれてくる確信なのです。
●自分でものを考え、ものを決めるということは、全体から見るとごく少ないのです。・・・自分が分かっているのは世の中の1%だけで、あとの99%は分からないと思えばいいでしょう。・・・あまり一つのことをくよくよ気にしないほうがいいのではないかと思います。・・・
何ごとも結構という気持ちが大切だと思います。
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温故知新で片付けるわけにはいきません。こういうのを「本質」というのでしょうね。
名経営者という点では共通するジャック・ウェルチの近著
『ウィニング-勝利の経営』
でも、「組織は人なり」というメッセージはまったく共通だったのが印象深いところです。
【参考記事です⇒
「勝つためには、人がすべてだ」@『ウィニング~勝利の経営』】
ウェルチの本は当たり外れが大きい(失礼)のですが、これはとてもよくできています。
すべてのビジネスパーソンに本当にお勧めしたい一冊ですね。
僕が今年読んだ本の中でも確実にベスト5には入ります。ぜひ!
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