企業も個人も、社会に価値を提供していくことで自らがよりよく存続しえるのだ。背筋が伸びた思いの一冊でした。これからの社会とビジネスのあり方を考えるうえで、リーダーたる者は必読かも。
『ネクスト・マーケット』(C.K.プラハラード著)
かの有名な
『コア・コンピタンス経営』
でも知られるC.K.プラハラード氏の著作で、いわゆる「貧困層」(※)と称される人々を顧客に変えるためのビジネス戦略やイノベーションについて、実際にインドやアフリカでビジネスを展開している事例研究を交え、考察が進められています。
※本書ではBOP:Bottom Of the Pyramidと称されています。以下、BOPと表記しますね。
一日2ドル未満の生活費で生きている人々を対象にしたビジネス、と聞いて最初に思い浮かんだのは、恥ずかしながら日々の食事を支援する炊き出し的なことでした。ところがどっこい、本書で紹介されているのはし信用販売や貯蓄プログラムのような金融系からインターネット・キオスク、行政サービスへのe-ガバナンス導入まで、
要するに我々が日々目にするビジネスと領域を異にするものではなかったのです!もちろん、人々の収入や社会のインフラ整備状況、あるいは文化背景の違いによって、米国や日本の商品をそのまま持ち込むことには無理があることが多く、製品の価格をはじめ様々なハードルをクリアするための工夫が必要になります。
(各社の取り組み、現地社会とのコラボレーションの具体事例は本書内でたくさん紹介されていますよ。しかも映像つき!)
その結果として、
BOP市場向けに開発されたソリューション(品質・効力・有用性)は、富裕層にとっても非常に魅力的であることが多々あります。そりゃそうですよね、安かったり、ユーザビリティに工夫が凝らされているのですから。
このような
「経済ピラミッドの下層から上層へ」という新たなアプローチ(←従来はピラミッド上層から下層に支給するといった構造でした)が、製品やプロセスだけでなく、
ビジネスモデルそのもののイノベーションの源泉になりえると、著者は指摘しています。
BOP市場は約50億人ともいわれ、人類の8割を占めています。
生活の質の向上を求める彼らとのコラボレーションによって、これまでにない驚異的な市場が形成されると期待するのは、ある種理にかなっているのかもしれません。
地球視点でビジネスのあり方を学ぶことで、「
そもそも僕達はビジネスに携わることで何を産みだそうとしているのだろう」といった根本に立ち返った問いを考え直すことができました。分厚いですが、具体事例も多くて、また現地映像も満載のCD-ROMもついた質量ともに充実の一冊、ビジネスリーダーを志す人はぜひこういう本を読んでほしいと思いますね。(断言)
【今日の学び】
時には地球規模で物事を考えることで、ビジネスモデルのイノベーションのヒントを得られる。それはひいては「ビジネスを通じて自分は何を産み出そうとしているのか」を問い直す契機となり得る。※人気ブログランキングです。少しでも学びがありましたら、ぜひココをクリックしてやっていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!『ネクスト・マーケット』(C.K.プラハラード著)
BOP市場では「信頼」が最重視されるんですって。各社戦略の中でも、「公共/社会の利益になる、奉仕する」点を各地で訴える取り組みがとても重要な位置を占めていたようです。こういうのが、まさにCSRなんだろうな~
ところで、これってなんだか今の日本人が忘れかけているような・・・
スポンサーサイト
この記事をリンクする?: